中小企業にとって取り組むべき経営課題は様々です。しかしながら多くの経営者が最重要課題に挙げるのが「販路開拓」です。中小企業の収益改善施策において、経費削減は限界があります。大手企業であれば事業譲渡やM&A、リストラ等により短期的に収益を改善できますが、中小企業、特に小規模事業者と呼ばれる会社にとって無駄な経費などほとんどありません。結局はTOPラインの改善、つまりは売上アップしかないのです。今回は「販路開拓」をテーマに現場の取り組み実態をご紹介します。

1.「販路開拓」とは何か?

「販路開拓」とは何でしょうか?
販路開拓とは、商品の新たな販売方法や流通チャネルを見出すこと、新たな卸先を見つけることです。とはいっても、中小企業が取り組む販路開拓には目新しい施策はほとんどありません。大企業とは違い、営業活動に多額の費用をかけることができないからです。よって中小企業の販路開拓は、いかに金をかけず効率的に営業活動を行うことが重要なのです。

2.「販路開拓」の施策とは?

「販路開拓」の施策としては、どのようなものがあるでしょうか?
私が支援した施策で最も多いのは、「既存顧客への販路再構築」です。つまり取引先への営業活動を見直すという策です。拍子抜けかもしれませんが、販路開拓に悩む中小企業の大部分が、既存顧客すら満足に営業できていないのです。既存顧客の2割が売上全体の8割を占めるといわれます。また新規開拓のコストは既存顧客フォローの5倍かかるともいわれています。つまり既存顧客を徹底的にフォローすることが販路開拓の鉄則なのです。

ではその他の「販路開拓」施策はどのようなものがあるでしょうか?主な施策を列挙します。

展示会・・・新規開拓の手法として代表的な施策です。大手企業の担当者は技術力の高い中小企業を常に探しており、その主な接触機会が展示会になります。最近は展示会の数も増えており、東京都では出展料を一部負担する補助金もでています。ブース出展で100万以上費用がかかるケースが多いので、補助金活用はありがたい施策ですね。

ホームページ構築・・・ホームページがない会社はたくさん存在しますが、高いIT知識がなくても無料で簡単にホームページを作成できるサイトがあります。私はまずは無料サイトでの作成をお勧めしています。

メルマガ・・・一度商談したが、契約にならなかった顧客との関係性を良好に保つ際に重要な施策です。名刺を机の奥に眠らせるのではなく、メールアドレスをデータ化し、情報発信を行ないます。最近は名刺をデータ化するアプリも多数でていますので、比較的簡単に情報発信が可能です。

どうでしょうか?当たり前の施策ですが、なかなか実施できていないのが現実なのです。

3.「販路開拓」支援のポイントとは?

「販路開拓」支援で重要なポイントは3つあります。

①その会社が施策を実行できるか
いくらテレアポが有効だとしても、その会社に実行できる社員がいなければ施策は成り立ちません。商社経由の販売を強化しようにも、関係性を作る営業マンがいなければ実現できないのです。つまり身の丈にあった施策を選択する必要があります。

②人の手がかからないやり方を考える
大企業ではないので、人員に余裕はありません。例えば商社に都度商品説明が必要であれば、動画で配信するなど人手がかからない工夫が必要です。

③実施担当者、実施日、実施方法をコミットする
会議でやることが決まってもアクションに結びつなかければ意味がありません。必ず実施担当者、実施日、実施方法を明確にすることが重要です。

4.「販路開拓・営業強化」の現場で感じることは?

私は多数の「販路開拓」支援を手掛けてきましたが、そのなかでよくある企業の傾向をまとめました。

①営業姿勢が受け身のままである
どうしても過去に営業しなくても仕事が取れた経験を引きずっている会社が多いです。国内市場が縮小する今は、海外販路も含め積極的な営業活動を展開しない限り、売上を伸ばすことは不可能です。国内市場で毎年10%近く市場が縮小している業界でも毎年順調に業績を伸ばしている会社は存在します。そのような会社は、驚くほど貪欲な営業活動を行っています。積極的に動くことが今の時代には非常に重要です。

②継続の重要性を理解できていない
成果がすぐでないと施策を止めてしまう会社があります。営業では「せんみつ」という言葉があります。「せんみつ」は1000件訪問すれば3件受注できるという意味です。この数値は極端としても、販路開拓はそう簡単ではありません。大事なことは「継続」です。継続的な行動が定期的な案件を生み、安定的な受注が獲得できるのです。

③社長が動かない
成果がすぐに出る会社が稀にあります。これは社長が素直で行動力がある場合です。多くの会社はせっかく議論して決めた「販路開拓」の施策を計画通り実行しません。「繁忙期だったから」「クレームがあったから」など理由は様々ですが、そもそも施策を実行しなければ成果はでません。この差は社長自らが率先して行動するかどうかにかかっています。

5.最後に

「販路開拓」は中小企業にとっては生命線です。いままで能動的に営業活動していない企業ほど、どうように進めていいかわからず、さらに売上減少に有効な対策を立てきれていないケースが多くみられます。国内市場がどんどん縮小していく中で、斬新な施策などありませんし、簡単に販路開拓など成功しません。だからこそ愚直に施策を社長が自ら行動して、継続することが重要なのです。そういう会社は厳しい経営環境でも確実に生き残っているのです。